文
□いつでも、
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1000HITキリリク伊藤さん
双人アブノーマル
いつでも、
「あ」
事の起こりは一時間前、人識がリビングでビテオやDVD、写真集の整理をしていた双識の、一番大切なビデオにココアをぶっかけた所から始まる。
「人識ぃっ、てめっ何やってんだボケェエぇぇェえッ!」
「うわっ、たかがビデオの一本や二本でキレんなよっ。っつうか何でここに持ってくんだよ、部屋でやれって!」
「今俺の部屋は、他の荷物でいっぱいなんだよ!……おほんっ、いいかい人識。このビデオテープは私の一番、いっちばぁん大切なビデオテープなんだよ」
「……………へっ、へぇ〜〜〜」
人識は一番大切な、という言葉に動揺する。
ただでさえ双識の物を壊して良い記憶はない。それで一番大切な物と言われれば、自然と身構える体勢になる。
「世界で一本しかない貴重な物なんだよ、コレは」
「一本しかない…?」
「そう、コレは私が盗撮したビデオだからねっ」
「…………………」
双識はビテオに収められていた可愛い子の自慰や、セックスシーンについて熱く語っている。
人識は自分が殺人鬼だという事を忘れて、警察に駆け込みたい気持ちになっていた。
そして双識は語り終えるとニッコリ微笑み
「この代償は人識の体で払ってもらうからね」
「はっ、え、あっ、ちょ、えぇえぇぇぇっ!」
そして現在に至る。
人識の部屋。
「さ、人識このカメラの前で自慰してごらん。うふふ、緊張しなくていいよ。ここにジュースとケーキ置いておくからね。
食べて落ち着いたらしなさい」
問答無用で人識に自慰を強要する双識。
「ううう、ホントにやんの?」
「だ〜め。やらないと公開プレイだからね。じゃあ、私は30分くらい出て行くから。見られたくなければそれまでに終えるように」
双識はテーブルの上に1.5gのコーラとコップ、ショートケーキ、モンブラン、ガトーショコラ、アップルパイを置き、ベッドに座る人識の頭を撫で極上の笑みを浮かべながら、部屋から出て行った。
「ちっくしょーっ、兄貴め、絶対ぶっ殺す…!!」
人識はビデオが回っている事も忘れブチブチ文句を言うが、やっぱり気になるジュースとケーキ。
ゴクリと咽がなる。
「…食おう。はむっ、ゴクゴク…ぱくり…ぐびぐびぐび…ん、うめぇ〜♪」
ジュースもケーキも豪快にたいらげる。1.5gのペットボトルには一滴も残ってはいない。
「ちぇーっ、こんなんじゃ足りねぇっつの。はぁ――――、さっさとオナって終わらせよ」
ジーンズを脱ぎ捨て、カメラに向かって足を開く。
「っつっつも何、オカズにすっかなぁー。
いきなりオナれっつっても…」
目を閉じながら何かないかと考える。
真っ暗な思考の中に浮かぶのは
『人識…』
「!!!」
ドクンと胸が高鳴る。思考に浮かぶは先程まで居た、双識の顔、声。
自分を好き勝手に犯す、血の繋がりのない兄の幻影。
思い出すのは前回の逢瀬。生クリームを身体に塗られ、更には体内にまで。
人識が泣いて止めてくれと懇願しても、双識は生クリームの入ったチューブを後孔に挿入し…
「うわあぁぁぁああああっ、忘れろ、俺!」
人識は顔を真っ赤にさせながら、白く染まった髪を左右に振り乱す。